「新宿二丁目」に行くときに気をつけたいこと #となりのLGBT

「新宿二丁目」に行くときに気をつけたいこと #となりのLGBT
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■性別のお話

前回は、LGBTについてライトめに解説したが、「全然知らなかったです!」派の人に対して、もう少し性別の話を掘り下げたいと思う。

人間の性別は、2種類だけではなく、ひとりにつき3つの要素がある。

(1) 生物学的ちがいや、性器があるかどうか、身体の性別を表す「セックス」

(2) 社会的にどの性別として扱われたいか、どんな服装を好むかなど、心の性別と呼ばれる「ジェンダー」

(3) 男性を好きになるか、女性を好きになるか、男性でも女性でもない人を好きになるか、そもそも人間を好きになるかどうかなどの、性的欲求の有無と対象を表す「性的指向」

この3つを包括的に合わせて「セクシャリティ」と定義されている。

(1)の「セックス」は身体的特徴を示すので、比較的わかりやすい。しかし、両性の身体的特徴を持って生まれる場合(インターセックスと呼ばれる。またはIS。中間的な性を指す言葉。半陰陽)もあるため、必ずしも男女の2種類に分類できるわけではない。

(2)の心の性別「ジェンダー」とは、自分の性別について本人がどう感じているかということ。「性自認」とも言われている。たとえば、タレントのはるな愛さんや佐藤かよさんは、生物学的には男性として生まれたが、心の性別は女性であると公表している。多くのトランスジェンダーが性別適合手術を受けるが、これは個人の考え方によって異なるので、セックスとジェンダーに同一性のないすべてのトランスジェンダーが手術を受けるわけではない。

(3)の「性的指向」は必ずしも性的欲求を含む恋愛感情ばかりではないので少し注意が必要だ。

ジェンダーと性的指向については、成長の過程で認識が変化したり、4、50代以上でも唐突に気づきを得たりする人もいる。そもそもこの2つの概念を持たず、自分を男性か女性か区別すること自体に違和感を持つ人(Xジェンダー)や、同性異性にかかわらず誰にも恋愛感情を抱かない人(アセクシャル)、恋愛感情は抱くが性的欲求を持たない人(ノンセクシャル)もいる。

■LGBの出会いの場

LGBの出会いの場といえば新宿二丁目であるが、そのお店の中でもいろいろ種類がある。男性しか入れないお店、男性向けを謳った男女入れるお店、女性しか入れないお店、女性向けを謳った男女入れるお店などなど。

この「女性向けを謳った男女入れるお店」になぜか現れる、レズビアンを狙うナンパ野郎の存在は、当事者なら一度は目にしたことがあるだろう。隣に座った女性に「女同士ってどうやってセックスするの?」「男性器がないとセックスにならない」などと執拗に絡み、挙げ句の果てには「いい男にまだ出会ってないからレズビアンなんだ」とのたまう。暗に「俺が男のよさを教えてやる」と言っているのだ。ただでさえ女性であるというだけで苦行のような世の中なのに、レズビアンであることでさらなるセクハラを受けるこの仕打ち。地獄絵図である。

こういう「俺が男のよさを教えてやる」男は、叩いても叩いても叩きのめしても、次から次へとわいて出てくる。ワニワニパニックか。「そういうお店」にいる以上、節度を持って現れるのかと思いきや、女性の集まるお店=タダキャバだ! と思い込んで、痴漢行為をする男もいたりする。女ってだけでここまでナメられるの? 血管が切れすぎて何百本あっても足りない。牛タンを食べるたびに舌を噛め。という気持ちになる。

レズビアンは男性嫌い、というイメージがある。しかし、これはおそらく上記のような不届き者どもの被害に遭った人々が、危険から身を守るために男性を敬遠しているだけだ。

新宿二丁目は、多くの人からすればテーマパークのような場所であるが、セクシャルマイノリティの人にとっては、自分が自分らしく、自由にいられる場所なのだ。普段は自分のセクシャリティを隠して生活している人々が、そこでだけはその抑圧から解放される場所。想像してみてほしい。自分の人格を形成する、大切な一部分を常に隠しながら生きることを。

■LGBTだと気づくきっかけ

ときどき「林檎は元々バイセクシャルであると自覚していたの?」と聞かれることがある。私の答えは、YesでありNoでもある。私の場合は少し特殊なケースで、水辺にたゆたう根なし水草のように生きてきてしまったものだから、自分にラベルをつけて「私はコレだ!」と自ら宣言することを避けてきたのだ。カテゴライズやラベリングは、他人に説明しやすくするためにつけるもので、自分をそこに収めるためにつけるものではない、というのが私の個人的見解だ。

しかし実情は、LGBT当事者自身も、自分がセクシャルマイノリティであることを受け入れられない場合がある。自分のセクシャリティやジェンダーを認識していながら、それを受け入れることができない。原因は人それぞれだが、性について十分な知識や理解のない親に、身体の性別によってジェンダーや恋愛対象の性別を決めつけられたり、押しつけられて育ったり、周囲の多数派の友人たちと自分を比べてしまったり。

トランスジェンダーの男性(身体の元の性が女性)から「スカートの制服を着るのが本当に苦痛だった」なんて話をよく聞く。自分だって、ズボンの制服が着たいのに、と。

2018年4月、千葉県柏市に新たに開校する柏市立柏の葉中学校で「ジェンダーレス制服」が導入されることになった。選べるのは、襟元の「ネクタイかリボン」と「スラックスかスカート」で、合計4種類の着こなしが可能となっている。柏市が「ジェンダーレス制服」に注目するきっかけとなったのは、かつて、制服で苦しんだ生徒の存在。心と体の性が一致しないトランスジェンダーの生徒たちにとって、心の性と異なる制服を着ることには強い抵抗感がある。

テレビドラマ「3年B組金八先生」を覚えているだろうか? わかってる、ちょっと世代がひと昔。それは置いといて、このドラマに上戸彩さんが性同一性障害(身体的な性別を心の性別に近づけるために医療を望む状態にある人を指す。Gender Identity Disorder、またはGID)の生徒役で出演した回。私と同世代のトランスジェンダーは口を揃えて「あれを見た瞬間に、自分はコレだったんだ!!! 目から鱗が100枚くらい落ちて、とても救われた」と言う。元バレーボール選手の滝沢ななえさんも、テレビドラマ『ラスト・フレンズ』でトランスジェンダーを演じる上野樹里さんを観て、「そもそも、女性である自分が女性を好きになるという考えを想定していなかった」ことに気づき、自分がレズビアンであると認識したと公表している。

正しい知識を持つことは、理解と救いにつながるのだ。

>>次回は「知ってる? シスジェンダーとトランスジェンダー」

<参考・引用文献>

LGBTとは何か? 性的マイノリティを正しく理解し、差別のない社会環境を」 | Lightworks Blog 人と組織を強くするメディア

制服「女子も男子もスカートOK」 | NHK NEWS WEB

「レズビアンだと気付けて、めっちゃ嬉しかった」元バレーボール選手・滝沢ななえさんがカミングアウトした理由 | SOSHI BLOG 松岡宗嗣のブログ

(文:豆 林檎、イラスト:土屋まどか)

Source: マイナビウーマン