話題の「女子大生ランキング」が炎上した本当の理由

話題の「女子大生ランキング」が炎上した本当の理由
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年末年始、さまざまな炎上を目にする機会があったが、私のブラウザにも、『週刊SPA!』の「ヤレる女子大生RANKING」の記事が届くのに時間はかからなかった。なんなら、クリスマスから目にしていた。私は「ま~た女をオナホ扱いしてる記事か?」と半分スルーしていたのだが、マイナビウーマン編集部から「フェミニズムの視点から、この件について執筆していただきたい」と言うオファーを受けて、内心「やはり只事ではなかったか」と、スルーしたことを少し後悔した。

■炎上の経緯は?

『週刊SPA!』 2018年12月25日号は「ヤレる『ギャラ飲み』実況中継」と題した特集を組み、男性が女性の飲食代を負担し、チップを渡す「ギャラ飲み」が流行っていることを記事にした。今回炎上につながった原因は「ヤレる大学生RANKING」。ギャラ飲みの後、性交渉に発展しやすい女子大生が多い大学を順位づけしたものだ。男女のマッチングサービスを運営する「ハイパーエイト」(東京都渋谷区)の社長の意見をもとに作成し、都内の大学を1~5位まで選んだ。それぞれの理由も記載されており、「男ウケのよさを磨いている」「横浜方面に住んでいて終電が早い」などとある。

そして今回の騒動ではさまざまなメディアから批判が寄せられ、署名サイト「change.org」で大学生の山本和奈さんが立ち上げた「女性を軽視した出版を取り下げて謝って下さい」という呼びかけには、立ち上がりからおよそ10日で50,000人以上からの署名が集まった。各大学側も、「本学の女子学生のみならず、広く若者の尊厳を損ない安全を脅かすものである」「女性の名誉と尊厳を著しく傷つけ、安全を脅かす記事」と、正式に扶桑社に厳重抗議を発表する結果となった。

■炎上の原因は?

各メディアで炎上した理由は「ヤレる女子大生RANKING」という、女性をモノ化して、尊厳のある人間として扱わない書き方(私に言わせれば、女性をオナホ扱いしている)が問題だったと思う。しかし、私が記事全体を読んで感じたことは、その根底にある、女性から恋愛対象として見られていない、そして性的に求められていない誰かが、女性を「自分の承認欲求を満たすためのモノ」という存在に落とし込む書き方をしている、ということだった。

■女性の自己決定権を暴力的に奪っている

私は、かなりゲンナリしたのと同時に、この記事の内容が「バブリーにお金を使ってくれる男性を利用して、女性としての性の価値を換金したい女性」と「性を売り物にしている女性を利用して、股間を満足させたい男性」が、お互いに利用し合っている、という構図に見えた。ビジネスとしては「男性に気持ちよくお金を使ってもらうための、女性が提供するフリーランスサービス業」であるといってもいいだろう。

ギャラ飲みに参加した際、自分の性のあり方に活発で自ら性交渉に誘う女子大生もいるだろう。しかし、そのつもりのない女子大生もいる。そこをひとつにまとめて「ヤレる」とすることは、女性の自己決定権を奪う暴力だ。ヤリたかろうがヤリたくなかろうが、それを決めるのは相互の同意が必要なわけで、それを片方のみが強引に性交渉に及ぼうとするのは、レイプと同じである。

2022年から成人の年齢が18歳に引き下げられるが、2019年の現状では大学生にも未成年は存在する。それを、大人が当たり前のように性的消費の対象として語るだけでなく「女の子がそれを求めている」かのように描く姿は、痴漢加害者のそれと同じだ。「自分は、痴漢されたがっている女の子を探してあげている」という発想で、自分が痴漢したくてしているくせに「女の子がされたがっているから、してあげる」という風に、主語を自分から相手にすり替えている。

つまり、この記事では、男性が「女子大生と飲んで、あわよくばセックスしたい!」と思っているのをわざわざ、ギャラ飲みを開催しているひとみんさんを使って「どうせ飲むならお金持ちと飲みたいよね~」と主語を女性側にすり替えているのだ。

■「女の子」はコンテンツじゃない

今回の炎上を知って一番はじめに思い浮かんだ言葉は、数年前に流行った「恋愛工学」だ。私なりに要約すると「女性をベッドに誘うための攻略マニュアル」とでもいったところである。

いつの時代も、自己啓発本や恋愛マニュアル本、ビジネス書が流行る。それは、誰しもがイージーに人生を謳歌したいから。そこにマニュアルがあれば、簡単に攻略できるのではと思いたい。こういう服装の女の子はお持ち帰りしやすい。カバンが大きい女の子は取捨選択が下手くそだから、押せばヤれる。カバンが小さい女の子は行き当たりばったりだから、押せばヤれる。女性をモノ化して人間としてみなさなければ、自分は傷つかない。相手にどう思われていようが、自分がお金を使えば女の子は優しくしてくれる。あわよくばセックスさせてくれる。それに、マニュアルに従って失敗したって、それは自分のせいじゃなくて、マニュアルが悪かったせいだ。

私が「女性をモノ化している」と言うとき、その実「男性側が、女性を使ってオナニーをしている」と言っているのと同義だ。その行為には、ひとりしか参加していない。相手と2人で作り上げる愛のある行為ではなく、相手を利用して自分が気持ちよくなるだけの独りよがりの行為で、さながらVRアダルトビデオだ(余談だが、世の中には、かわいい女の子が延々とジャガイモを食べさせてくるVRアダルトビデオなるものが存在するらしい。人間の欲望は多種多様だ)。

■昔はみんなやっていたから、今もやっていいの?

「抱かれたい男ランキング」やら「ヤリマン女子大ランキング」なんて、昔からずーっと書かれ尽くしているじゃないか。今さら何がいけないのか? と思う人もいるだろう。私の答えは「今も昔もダメだった」だ。ではなぜ今、このようなコンテンツが燃えるのか。それは、「女性はモノではない」という認識がマイルドに浸透していったこと、そして女性自身も、「モノ扱いされることにはっきりNOと言ってよい」と認識が広まってきたことにあると思う。

「自分は女性をモノ扱いなんかしていない!」と言う人も、同じ口で「女の人って甘いもの食べたら機嫌よくなるんでしょ?」「女性には母性が生まれつき備わってる」と、まるで女性を別の生き物か何かのように話すことがある。実は、無意識に「女性」を同じ人間ではない別の生き物かのように思う先入観こそ、このランキングのような記事が世に出る理由の根源ではないだろうか。

<参考・引用文献>

ぼくは愛を証明しようと思う。 | Amazon.co.jp ぼくは愛を証明しようと思う。 藤沢数希

私は男性を嫌悪などしていない! 前編 | 「男の子の育て方」を真剣に考えてたら夫とのセックスが週3回になりました 田房永子

性器、性交、ROCK&ROLL。(後編) | どうせカラダが目当てでしょ 王谷晶

Colleges named in Japan tabloid’s list of schools with ‘easy girls’ condemn article as misogynistic | the Japan times

(豆林檎)

Source: マイナビウーマン