別れ方がズルい男 #私が出会った悪い男

別れ方がズルい男 #私が出会った悪い男
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こんにちは、マイナビウーマン編集部のたかはしです。

マイナビウーマン1~2月の【悪い男】特集で、編集部のみんなが今までの人生で出会った「いちばん悪い男」を紹介するエッセイをリレー形式で書くことになりました。この企画を出したのは、ほかでもない私。そして今とても後悔しています。なぜなら「発案者だから」という理由だけでトップバッターを押しつけられたから。プレッシャーと恥ずかしさで死にそうですが、がんばって書くのでよければ最後まで読んでください。

■私が出会った悪い男#01「別れ際がズルい男」

あなたは「悪い男」と聞いて、どんな人を思い浮かべる?

先日マイナビウーマン公式Twitterでフォロワーのみなさんが出会った「私が出会った悪い男」のエピソードを募集してみたところ、不倫男や四股男などのエピソードが多数寄せられた。たしかに彼らは恋愛市場から抹殺されるべき典型的な「悪い男」。でも私にとっての「悪い男」は、思い出すと胸がキュンとする……もしどこかで再会したら絶対にまた好きになってしまうであろう、魅惑的でズルい男性のこと。

たとえば、私が大学時代に出会った2歳上のM先輩。綾野剛に似ている爬虫類系イケメンで、白のゆるニット×黒スキニーが似合う178cmの高身長。サークルではリーダー的ポジションで、大勢をまとめ上げるのが得意。かと思いきや、その輪から抜けた途端にだらっとした笑顔でタバコを吸いはじめたりする、そのギャップがたまらなかった。

大学1年のときから気になっていたが、当時の先輩には「麗美」という美人な同級生の彼女がいた。その名前の通り、彼女はあまりメイクをしていないのに目鼻立ちが整っていて、スタイルもモデル級。話したことはないけれど、美人なのに気取っているわけでもなく、明るくて自由奔放な性格らしい。そんな完璧な女性に敵うわけがないと悟った私は、自分の想いに蓋をし、あくまで「仲のいい後輩」というスタンスを貫くことにした。

そして大学3年生になったとき、私に勝機が巡ってきた。先輩があの「麗美」と別れたらしい。私は、社会人になったばかりの先輩にすぐさまメールをして、あくまでも「先輩の失恋話を聞いてあげる」というていで距離を詰めていく作戦に出たのだった(今思うとかわいい)。

そして大学3年の冬、奇跡が起きた。ダメ元で告白した結果、M先輩と付き合えることになったのだ。それまで手をつなぐ程度の交際経験しかなく、田舎から上京してまだ数年しか経っていない私にとって、先輩と過ごす日々すべてにときめいたのを覚えている。広尾のカクテルバーに連れて行ってもらったり、先輩が住んでいた中目黒の街並みを歩いたり……。何より「社会人の彼氏がいる」という謎ステータスが私を優越感に浸らせた。

それと同時に、話したこともない美人の元カノ「麗美」へのコンプレックスも募る一方だった。先輩からのメールの返信が遅いと「もしかして麗美と会っているのではないか」と疑念を抱き、麗美のSNSを特定して1日30回くらい見ることもあった。少しでも彼に釣り合う女になりたくて、麗美がよくFacebookに上げていたコンサバ風タイトスカートやハイヒールを真似して買ってみたりもした(童顔で低身長な私には死ぬほど似合わない)。

毎日10通はやり取りしていた先輩とのメールが、次第に5通、3通……最終的には1通でも返ってくればいいくらいになったころ。先輩から「話がある」と呼び出され、平日夜に新宿のカフェで待ち合わせることになった。告げられたのは、別れの言葉。「ごめんね。告白されたから付き合ってみたけど、後輩にしか見られなくて……」と申し訳なさそうに言われたが、私の中ではショックと同時に「ああ、やっぱり」と腑に落ちた部分があった。

だって私たち、身長も、ファッションも、恋愛経験値も何もかも、最初から釣り合っていなかったもんね。

もうひとつ、別れの理由は「気になる子がいるから」というものだった。それは、元カノの「麗美」ではなく、先輩の職場の同僚。私はずっと麗美の呪縛から抜け出せずにいたが、彼の目線の先にいたのは私でも麗美でもない、まったく別の女だったのだ。

カフェを出てから駅の改札に着くまで、子どものようにぐずり泣く私と、その三歩先を歩く先輩。これからは先輩のメールを寝ずに待たなくていいし、麗美のSNSも覗かなくていい。好きでもない大人びた洋服やヒールを無理して買う必要もない。最高じゃん。これでよかったんだ。そう自分に言い聞かせることで、別れを正当化しようと必死だった。

そして改札の前、最後の別れ際。

「じゃあね。これからいっぱい恋愛しな」

私の未熟さをすべて見透かしていた先輩は、やさしく頭を撫でながらそれだけ言い残して、改札の向こう側へ消えていった。最後にこんなことができちゃうくらい、先輩は私より二枚も三枚も上手だったのだ。こんな終わり方、ズルすぎる。

今思えば、“後輩にしか見られない”なら最初から付き合うなよって言いたいし、それでやることやってるのも矛盾してるだろって殴りたい。あのとき買ったコンサバ風スカートとヒールは別れた翌日に捨てた。

それからは「いっぱい恋愛しな」という先輩のアドバイス通り、たくさん恋愛をした。ひとつだけ変わったのは、背伸びをせず、対等でいられる男性と付き合うようになったこと。

だけど、付き合って別れて……を繰り返す度に思う。たくさん恋愛をしてみたけど、私は最終的にどこへたどり着くべきなんだろう。どういう恋愛をして、誰と結婚するのが正解なんだろう。先輩は、その答えを提示してくれなかった。

彼氏ができて幸せ絶頂なときも、別れて路頭に迷ったときも、いつも頭をよぎるのは先輩のあの言葉。もう二度と会うことはないだろうけど、これからもずっと私の記憶に残り続ける人なのかもしれない。あー、やっぱり悪い男。

(文:たかはし/マイナビウーマン編集部、イラスト:矢島光)

>次回は、あの編集部員が出会った「悪い男」!

Source: マイナビウーマン